ニュースレターNo.164(2023年12月)

神を見出す人生
塩釜聖書バプテスト教会開拓担当牧師 大友幸一

この世界は病んでいます。とめどもない戦争や迫
害、飢餓や貧困、大雨や洪水、地震や津波、ありと
あらゆる災害に取り囲まれています。人災や天災に
見舞われると私たちはどうして自分ばかりとの思い
になってきます。2011 年 3 月東日本大震災の被災
地の教会としてたくさんの国内外のクリスチャンボ
ランティアを引き受け支援活動をさせていただきま
した。当時の被災地はクリスチャンを知らない人々
が多く住んでいる漁村や農村でした。ある人たちは
無私の愛を持って仕えるクリスチャンの姿に打たれ、
彼らの信仰に興味を持ち聖書を学び信仰告白に導か
れました。その結果、まったくキリスト教に無関係
な地域にいくつかの教会が出来ました。
イエス様はある人々がユダヤの地方総督ピラトが
ガリラヤ人を殺害したことを告げた時、彼らに言わ
れました。「そのガリラヤ人たちは、そのような災
難にあったのだから、ほかのすべてのガリラヤ人よ
りも罪深い人たちだったと思いますか。 そんなこと
はありません。わたしはあなたがたに言います。あ
なたがたも悔い改めないなら、みな同じように滅び
ます。」 また、シロアムの塔が倒れて死んだあの十
八人は、エルサレムに住んでいるだれよりも多く、
罪の負債があったと思いますか。 そんなことはあり
ません。わたしはあなたがたに言います。あなたが
たも悔い改めないなら、みな同じように滅びま
す。」(ルカ13:1~5)
この社会は人災、天災の原因を追求して二度と同
じ災害が起こらないように防止策のマニュアルを作
ってひと安心するのが常です。イエス様は災害を見
たり聞いたりしたらこの世界を治めている創造主へ
の悔い改めが大切なことを教えました。私たちは誰
でも必ず死を迎えます。死の原因は人間は創造主に
背を向けて生きている罪びとだからです。そのこと
を直視するために災害による試練が私たちの身近な
ところに起こるのです。
使徒パウロは当時の文化都市ギリシャのアテネの学
者たちに向かって創造主なる神について語りました。
神は、一人の人からあらゆる民を造り出して、地
の全面に住まわせ、それぞれに決められた時代と、
住まいの境をお定めになりました。 それは、神を求
めさせるためです。もし人が手探りで求めることが
あれば、神を見出すこともあるでしょう。確かに、
神は私たち一人ひとりから遠く離れてはおられませ
ん。『私たちは神の中に生き、動き、存在してい
る』のです。(使徒17:26~28)
様々な時代や国境線はよい環境をもたらす場合と
そうでない場合があります。また試練の原因にもな
ります。ところがそれらには大きな意味があります。
そこで生きている人々が全世界を治めている創造主
を求めるためであり、創造主を知って救いをいただ
くためです。
世界中で、国外でそして日本で身近な地域で家庭
の中で思いがけない想定外のことが起こります。あ
る人たちは嘆きます。どうしてこんな事件が起こっ
たのか。どうしてこんな病気になってしまったのか。
こんな家庭にどうして生まれてしまったのか。どう
してこんな時代なのか。どうしてこんな職場で働く
ことになったのか。それらは神を求めさせるためで
す。神は私たちから決して遠くにはおられません。
遠く近くの様々な試練は私たちが神を見出し神と
共に生きる希望あふれた人生の扉が開くためです。
すでに神を見出した人々には神の憐みと恵みを思い
巡らす時です。

「サイレント・リトリート」という取り組み
名取ニューライフキリスト教会 牧師 大沼孝

「あなたはどこにいるのか」と主は人に呼びかけ
られました(創 3:9)。主は、私たち一人ひとりに
対しても、御声をかけてくださっています。「あな
たはどこにいるのか」と。では、私たちは、一体ど
こにいるのでしょうか。
私が自分が燃え尽きる寸前であることに気づいた
のは、2011 年の東日本大震災後のことでした。あ
る時、デボーション・ノートを読み返していると、
殆ど毎日、「今日は疲れた」と書いていたのです。
震災直後から数カ月間は大変でした。津波や地震の
被害は甚大でしたし、原発事故による放射能汚染は、
心身を酷く消耗させました。しかし、多くの労苦の
末に、生活は段々と落ち着いて来て、平穏な生活が
戻ってきたと思うようになっていました。ところが、
外側の復興の陰で、私の内側は枯渇していたのです。
これは大きな危機だと思いました。私は牧師の務
めをいただいていますが、私が燃え尽きたなら、一
体誰が教会の方々のお世話をするのでしょうか。私
自身が、癒され、回復させられることが急務だと感
じました。
そこで、イエズス会の黙想センター「せせらぎ」
(東京都練馬区)が主催している集いに参加してみ
ることにしました。最初は2泊3日の黙想から始め、
その後、3泊4日の黙想、更に8泊9日の黙想に参
加しました。そこでの体験は、とても新鮮でした。
また、心の深いところが元気を取り戻すように感じ
ました。
そして、黙想を通しての主との交わりは、牧師や
信徒の方々を大いに助けることになるのではないか、
と強く思うようになりました。私は、以前から、太
田和功一先生を同伴者とする「サイレント・リトリ
ート」と呼ぶ集会に参加してきました。(「同伴」と
は、主との交わりを助ける働きのことです。)「サイ
レント・リトリート」は、カトリックの黙想会と多
くの共通点を持っています。この「サイレント・リ
トリート」を継続的に開催することで、教会の皆さ
んに、主との深い交わりを体験する場を提供できる
のではないか、と考えています。現在は、太田和先
生が第一線を退かれたため、私が同伴者として奉仕
する機会が年4回あります。いずれも2泊3日の集
いで、軽井沢や那須にある黙想のための修道院の施
設で開催しています。また、太田和先生が設立した
CLSK という団体も主に東京で多くの黙想の集いを
行っています。黙想について関心がありましたら、
CLSK のホームページをご覧になるか、私宛にメー
ルしてください(earc2008@yahoo.co.jp)。 皆さん、
お一人おひとりが、主の御声を聞く幸いを体験して
欲しいと私は願っています。

コルネリオ会に寄せて
塩釜聖書バプテスト教会開拓担当牧師 栗田義裕

コルネリオ会の皆様、はじめまして。宮城県の塩
釜聖書バプテスト教会開拓担当牧師の栗田義裕と申
します。石巻、仙台での約 40 年の牧会生活を経て、
現在は無牧教会の支援や後継者育成の働きに専念し
ています。この度、原稿の依頼がありましたので、
拙いながら信仰と戦争の問題について普段考えてい
ることをまとめてみました。折しも、イスラエルと
ハマスの戦いが厳しい局面を迎え、ウクライナ戦争
も出口の見えないまま、クリスチャンとしても無関
心ではいられない状況に置かれています。
私と自衛隊との接点は、石巻で伝道していた時で
した。航空自衛隊松島基地所属のクリスチャン青年
が礼拝に出席してくれていたので、松島基地に訪問
したこともありましたが、きびきびとした対応が印
象的でした。また私の父は戦時中、海軍の造船将校
として広島にいたことがあり、家の本棚には造船関
係の本と共に雑誌「丸」も並んでいたので、子ども
ながらに興味をもって読んだことを覚えています。
その後、信仰に導かれて教会生活を送る中でずっと
感じてきたことは、どうも日本のキリスト教会の中
には意識的にせよ、無意識的にせよ、自衛隊に対す
る否定的な感情があるのではないかということです。
(もちろん教派、教会によって違うとは思いますが)
仙台で牧会していた時、かつて自衛隊に勤務して
いたクリスチャン青年と一緒に松島基地の航空祭に
出かけた際に、彼がふと「自分とこんな風に付き合
ってくれる牧師は珍しいです。…」と淋しそうに語
っていたことを思い出します。自衛隊を巡る考え方
に相違があるのは当然としても、日夜、防衛のため
に尽力してくださっているクリスチャン隊員の方に
肩身の狭い思いをさせてしまうとしたら、それは残
念なことです。
日本は四方を海に囲まれているため、国境という
ものを肌で感じる機会が乏しいように思います。私
は 20 代の頃、韓国の板門店を訪れる機会がありま
した。ツアーに参加する際には、万一のことがあっ
ても主催者は一切責任を負わないという誓約書にサ
インをし、38度線に近づくとパスポートをガイドに
預けて見学となります。周囲を米軍駐留部隊が厳重
に警護する中、緊張して板門店の会談場に入りまし
た。緑色のクロスが敷かれたテーブルの真中に伸び
ているマイクのコードが国境線であるとの説明に、
普段は殆ど意識することのない国境の存在とその厳
しさを肌で感じることができました。また、こちら
の動きを逐一監視している北朝鮮兵の鋭い視線を意
識して息の詰まるような思いをしたことを覚えてい
ます。私はすでに信仰を持っていましたけれども、
若い時のこの体験が今の自分の考え方の根底にはあ
るように思います。
教会の歴史を遡ってみると、初代教会の時代から
クリスチャンは戦争や兵役のことでは色々と葛藤を
感じていたようですが、時代が下ってキリスト教が
国教化されると教会内にも軍人が増えて行き、教父
たちによって「正義の戦争」が議論されるようにな
ります。しかし、帝国がいわゆる「ローマの平和」
を享受していた時代でも、その背後には史上最強と
謳われたローマ軍の存在があったことは歴史的事実
です。また、使徒パウロもエルサレムで危うく群衆
のリンチに遭いそうになった時、ローマ軍の千人隊
長に助けられ、さらにカイサリアに護送されるに際
してはローマ軍の手厚い護衛がありましたし、2年
間にわたるローマでの監禁生活における伝道も、ロ
ーマ兵に守られてのものでした。(使徒 21-23、28
章)使徒パウロの伝道は、ローマ軍のサポートなし
にはあり得なかったというのは言い過ぎかもしれま
せんが、「ローマの平和」が「世界最強の軍事力」
によって維持されていたという事実をどのように評
価、判断するかは今後の大きな課題ではないでしょ
うか。(岩波新書「軍と兵士のローマ帝国」)
最後に一言、12年前の東日本大震災の折には自衛
隊の皆さんに捜索活動から簡易風呂の設営に至るま
での献身的なご支援をいただきました。被災地の教
会の牧師として、改めて感謝の気持ちをお伝えした
いと思います。本当にありがとうございました。日
夜、大きな責任を担ってくださっている自衛官の皆
様の上に、神様の祝福があるよう心よりお祈りして
います。

東北勤務で感じたこと
コルネリオ会副会長 圓林栄喜

1 はじめに
自衛官は全国を異動し、行くところ行くところ、
様々な教会で礼拝を守ることになります。教派も違
えば、自衛隊についても考えは様々ですが、幸いど
の教会も我々家族を快く受け入れてくださいました。
本当に感謝しております。
2 東北での勤務の印象
東北(宮城)での勤務は初めてでしたが、我慢強
く真面目な隊員が多いという印象を持ちました。東
日本大震災での自衛隊の活動については今でもお礼
を言ってくださる方々も多くおられ、そのことにこ
ちらが励まされました。
3 支倉常長(はせくらつねなが)
そんな東北勤務で特に印象にのこったクリスチャ
ンが支倉常長です。1613年に伊達政宗が太平洋を越
えてメキシコ経由で大西洋を渡りスペイン、ローマ
まで使節団を派遣し1620年に帰国しました。
彼はその使節団の責任を負い、同行した宣教師の影
響もあり移動中に受洗しましたが、華々しい成果もな
く失意のうちに帰国しました。日本はキリスト教禁教
政策の中であったため交渉が難航したようです。
大航海当時とは言え旅慣れない一行が、7年もか
け、インド洋回りの航路ではなく、太平洋周りでよ
く生きて帰ってきたと驚くばかりですが、帰国後2
年後には病没。お家も息子の時代に家来のキリスト
礼拝により取り潰しの憂き目にあいます。
キリシタン迫害の時代、クリスチャンになること
が何を意味するかは分かっていた中で常長の行動は
何か私の心に訴えかけてくるものがありました。
グローバル化が進む中、価値観も多様化し、信仰
を持ち続けることが困難な時代が再び到来するかも
しれません。常長や迫害にあった当時のクリスチャ
ンのごとく、我々の命は主のみ手の中にあり、主の
与えられた使命を黙々と果たし、その一生を終える
者でありたいと思います。
4 おわりに
今回のニュースレターは、私が東北勤務間にお世
話になった3人の先生に執筆をお願いしました。
少子高齢化と過疎化が進み、多くの教会が無牧や
兼牧の状況になりつつあります。私の通っていた教
会もそのような状況に置かれていました。コロナ禍
ではありましたが、互いに祈りあうこと、共に集ま
り礼拝を守ること、主を証すること、クリスチャン
ホーム建設、信仰継承の大切さを改めて感じました。

AMCF世界大会のご案内

来年10月に開催されるAMCF世界大会について案
内します。前回の世界大会は、2014年に南アフリカ
で開催されましたので、10年ぶりの開催となります。
なかなか開催されない貴重な機会ですので皆さま奮
ってご参加ください。
参加を希望される方(検討中の方も結構です。)
は、中野会長(jmcfusa@gmail.com)までお知らせ
ください。よろしくお願いいたします。
期日:2024年10月16日~19日
場所:ブラジルサンパウロ州
アグアス・デ・インドイア
マジェスティックホテル
主催者: UMCEB、南米副会長、ACCTS、AMCF
参加者:約2,000名
参加費:600米ドル

月例会動画の案内

コルネリオ会月例会における牧師先生らのメッセ
ージをコルネリオ会(JMCF)ホームページにアップ
しております。毎回様々な視点から信仰の糧となる
テーマでメッセージをいただいております。見逃さ
れた方、興味のある方は是非ご覧ください。
http://jmcf.s302.xrea.com/index.html
2023 年 8月 「創造主の神イエス」 〜ヨハネの福音書1章1節から12節~
MEAJ 日本自衛隊宣教会牧師・コルネリオ会教職顧問
金 学根
2023 年10月 「御言葉は私の道の光」 〜コリント第Ⅱの手紙3章18節から4章6節〜
武庫川キリスト教会協力牧師・コルネリオ会教職顧問
井草 普一

献金感謝(2023.7.1-2023.10.31)
皆様の献金を心から感謝します。
常盤一崇、圓林栄喜・さゆり、大頭眞一
小島健二、石川信隆、康田洋子
吉田 靖、石井克直、廣田具之、中野久永
献金振込先は次のどちらでも結構です。
① 郵便振替口座:00130-3-87577(コルネリオ会)
ハマタカユキ
② 銀行振込口座:三菱UFJ銀行 和光支店 店番
505 口座番号0385701 ジェーエムシーエフ ナガ
③ ゆうちょ銀行 〇一九(ゼロイチキュウ)店
当座0087577 コルネリオ会

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