News Letter No.3  1971年


○論説

 教会の危機と自衛隊の信者の歩み方

 防大 今村和男

 近時、多くの教会は重大な危機に直面しているかに見える。そ

の第一はイエス教なるものの浸透である。これは、イエスをキリ

ストと信じない。いわば釈迦や孔子と同じ偉大な宗教家とみて、

聖書の中の一切の奇跡を否定し、復活も勿論信じない教えである。

しかもこれが多くの??、神学生によって宣伝されているので始

末が悪い。私の教会でも一昨年ある神学生が月報にこの説を唱え

て大きな波紋を引き起こした。第2は教会の社会運動である。こ

の事自体が悪いことではないことは自明である。昨今、教会の門

をたたく若人が逐次減ってきたため、何とか青年を引き寄せよう

と教会が努力するのは、当然のこととしてそのためには伝道一本

では、余り効果がない。むしろ近隣社会の??とこみにして、青

年の心を捉えようと図る事が多くなった。やむを得ざる手段とも

見えるが一方で、これは、大変危険でもある。勿論、教会はこの

様にして集まった老人の何人かが、本当のキリスト教者となるも

のと期待して、?は脱落すると考えている。?が多くの場合、集

まってくる若者は、大半が社会問題により多くの関心を持ってい

て、信仰問題には興味????



 科学万能の時代に、キリストの処女降誕十字架の死よりの復活

など、余り強調したのでは皆がふりむかない。従ってなるべく人

々の心に抵抗を感じさせない方法で伝道しようなどと考えると、

イエス教などが入り込む。又一方で皆の関心を引かんが為に、社

会問題をこみにすると、むしろこちらの方が先に立ち、信仰など

どうでもよいと言う結果になる。確かに今の時代に若人に伝道す

る事は容易なことではない。

 実はこれらのことが、私ども自衛隊の信者と関係しているので

ある。

○ 聖書にあらわれた一軍人

(防大朝礼時の講話より)

 防大 今井健次
 聖書には多くの軍人の話しが出ておりますが、あまり偉い人の

話しでは我々にそぐわないので今日は我々に近い平凡な一軍人に

ついての話しをしたいと思います。それは旧約聖書サムエル記下

に書かれているヨアブと言う軍人について話します。先ず我々が

聖書を読むときに注意すべきことは聖書を人間が書いた書物と思

うと、常識ではわからない所があったり矛盾した様な所があった

りで、続けて読めなくなります。大抵の人は、この様なことで聖

書を途中でやめてしまいますが、聖書を神の啓示だと思えば、そ

のことが気にならなくなります。そして読んでも分からない所は

とばして読むので、そうすれば読んだ所は皆わかることになりま

す。さて、ヨアブについて三つの話しをしようと思います。先ず

第一話。時は戦時中で前線では戦いが行なわれていましたが、或

春の日ダビデ王が宮殿の高殿から下を見ると一人の女の人が、ゆ

あみをしておるのが目にとまりました。ここで高殿から下に落ち

れば久米の仙人になるわけですが、ダビデは落ちなかった。しか

しその女の人があまりに魅力的だったので人をやって誰であるか

を聞かせました。そしたらその女の人はウリヤと言う軍人の妻で

あった。しかしダビデはこの女を宮殿に呼び寄せて自分のものに

してしまいました。これは悪いことです。しかし悪はそれでおさ

まらなかった。ウリヤが帰って来ると事は面倒になるというので、

ウリヤの上宮であるヨアブ将軍を呼んでウリヤを戦死させてくれ

ないかと頼んだ。そこでヨアブは「わかりました」と言ってウリ

ヤを一番戦闘のはげしい所にやってむりに戦死させてしまった。

このことについてダビデのしたことは神を怒らせた。と聖書に書

いてあります。しかしその先棒をかついだヨアブについて聖書に

は良いとも悪いとも書いていないのです。だから、その善悪につ

いては読者のディスカッションの材料にしたらよいと思います。

??にヨアブはダビデ王の言うことは何でも「はいはい」と聞く

のかと言うとそうでもないのです。ダビデには、何人かの息子が

ありましたが、一人の息子が身持ちの悪いことをしたのでその弟

がこの兄を殺して逃げてしまった。そこでヨアブはその弟を攻め

ることになったが、昨日まで王子だったのに攻めるというのは具

合が悪いというのでしょう。一計を案じて或るやもめを使って王

に王子を攻めるのを思い止まらせてもらいました。いかに正しい

事であっても直言する丈ではいけないということになるとおもい

ます。

第三話。ヨアブも人間なので、??所があります。(昔の戦争中

の事なので、昨日まで敵の??だった人が今日は味方になること

があります。)ヨアブには兄弟がありましたが、その一人が戦死

をしたわけです。所がその殺した相手の将軍が或る事情から味方

になることになりました。そこでヨアブは或る日その将軍を呼び

出して油断させて殺してしまいました。これは戦時のうらみを平

時に晴らしたということで、悪事と言うことになりました。そこ

でダビデ王は死ぬ前に、ヨアブを罰するようにと言い残しました。

ダビデの子のソロモン王はヨアブを罰する為に出て来るように言

いました。ところがヨアブは出て来る代わりに神の幕屋にのがれ

ました。そして出て来いと言うのに対し、「いや、私はここで死

にます」と言った。彼には王は上なる権威ではあったが、本当の

主人はもっと上にあったのです。それは主なる神です。「自分の

やったことが本当に罪であるならば、それは王に裁かれるよりも

神が裁いてくださるでしょう。だからもし神がお許しになるなら

私は生きることになる。若し、神が許されないならば私はそれに

従う他ないからここで死ぬことになるでしょう。」と言うことだ

と思います。しかし結局ここで死ぬことになりました。

 さて我々自衛隊員は事に臨んでは危険をかえりみず身を廷する

事になっております。我々は平和の時には目立たない存在でよい

のですが、一旦事に臨んで命を的に働かなければならない。その

時、我々が本当に命を投げ出すに足る対象をお持ちですか。諸君

のこの四年間の防大生活に於ける第一の目的はその命を投げ出す

に足る対象を見いだす事ではないかと思います。

☆国際OCU大会

 国際OCU大会は本年は西ドイツDassel(ハノーバー近郊)に

おいて来る5月28日から6月2日までの間、開催されます。我

が国からはOCU顧問の千葉愛爾牧師御夫妻(久里浜教会、元海

軍大佐)及び武田貴美会長(元陸将、衣笠病院長)が参加される

予定です。主にある国際的交わりの上に御加祷下さい。

☆45年度会計報告

 (45.4.1〜46.3.31)

 収入

 会費 13,000ー

 献金  1,000ー

 計  14,000ー



 支出

 文房具(ゴム印、封筒等)1,054ー

 送料    3,940ー

 修養会補助 1,865ー

 次期繰越  7,141ー

 計    14,000ー
☆会費納入者(敬称略)

☆お願い

 1.45年度会費¥1000お送りください。

 2.原稿を募集します。記名、ペンネーム、とく名は自由です。

   堅いもの軟らかいもの、これも自由。近況、所属教会の様

   子、あかし、??、意見、何でも結構です。



「コルネリオ会事務所」

 横須賀市走水一丁目 防衛大学校

  応用物理学教室 射理研気付