ニュースレター No.37 1983年6月

ニュースレター No.37   1983年6月
 聖書は無誤か(その2)
 信仰の面と生活の面では聖書は無誤であるか.科学的な面では文字通りの意味 とはかぎらないという論があり、どうも科学と聖書とを調和させる事にはかなり の困難があるようである.勿論現在の科学の知識で聖書の記述がすべて説明出来 ると思っている人は居ないであろう.しかし今世紀こ於ける科学の進歩は非常に 大きいので、聖書の理解についても16世紀の人達にくらべたら、現在の人達の理 解はかなり変化している事と思われる.
 聖書に出て来る奇跡には病人のいやしから始まって色々なものがあるが、それ について少し考えてみたい.
 主イエスの公生涯における始めの奇跡はヨハネ福音事2章にある水をぶどう酒 に変える事であった.「かめに水をいっぱい入れなさい。」「さあくんで料理がし らのところに持って行きなさい。」と主イエスが言われた時水がぶどう酒に変わっ た.本来水はぶどうの根を通して吸い上げられ、太陽エネルギーのもとで物質の 変換が行なわれる.そしてぷどうの実に貯えられた部分がつぶされ、長期間熟成 されて良質のぶどう酒となるのであるが、数年を要するこの過程が一瞬の間に達 成されたというわけである.このような物質の合成を短時間に行うことは、地上 の人間には困難であるが、神の子イエスには出来たというのである。
 又、主イエスのなされた奇跡の中で一番理解しにくいのは、飢えた5000人に パンを給食した奇跡ではなかろうか.これは物質やエネルギーの変換だけでなく 量の変化なので科学的には理解が更に困難である.しかしこの奇跡は四福音書の 何れにも出て来るので、その記述が非常に強調されており、単なるたとえ話や物 語りと見過ごすことは出来ない.この記述(例えばマタイ14:20)での12のかご はどうしたのか.食べ残しについてはその後どうなったのか、等々当時の人達は どうしたのであろう.物理的なパンの増量だけでなく、副次的なかごや食べ残し に対して、この奇跡にあずかった人達がどうしたかを考える事は興味深い.これ はある事実に対して、人間が理解出来るように言葉で記述する事が、如何に困難 であるかを教えているのであろう.
 次に福音の基である処女降誕について考えてみよう.生命科学は近年非常な勢 いで発展し、遺伝や発生等人間の誕生については今や人間の手が自然の節理の中 に種々の形で入り込みつつあり、逆に言えば神のみ手によるならば、聖書にある ような聖霊による完全な人間イエスの誕生についても、その現実性がうかがい知 れるのではなかろうか.続いて起った主イエスの復活については、現在一般の人 間の復活ほまだこの地上にないので、その科学的な考察もまだその時ではないよ うに思われる.聖書が強調しているもう一つの重要な奇跡は、回心と言われる罪 の許しにつながる人間の変化でほなかろうか.この事については兎角常識的に軽 く考えられやすいが、更に深い考察が必要であろう.罪の許しの奇跡は単に抽象 的な事柄でほない.人は罪が許された時に状態が変わる。
 急に変わる場合も徐々に変わる場合もあり緩急の差はあるにしてもその精神状 態が変わるので、これは世的に見るならば精神医学的な事であり、物理的と言う よりはむしろ薬学的化学的と言えるかも知れない.十字架は処罰の代行という教 理もあるが、それだけによって罪深い人間の考え方が急に変えられるものであろ うか.そこにはやはり心情的なものだけではなく、何か人の脳に働いて之を変え る何物かがあるのではなかろうか.罪の許しの基である神の小羊の血(ヨハネ: 1:29)は只に抽象的な事柄ではなく、この地上の物質と関連があって何かの効 果を持っているのかも知れない.
 そこに御子イエス受肉の必然性と必要性が示されているのではなかろうか.若しこれが解明されれば、その時科学と聖書との調和が得られるような気がする.
 以上聖書に出て来る代表的な奇跡について考えて来たが、これらの考え方は聖 書の科学的な説明とは言えないであろう.しかし同時に現代の科学知執をもって 聖書を否定することの不当をも示している.  若し否定するとすれば、それは現代の科学者の立場から否定するのであって、 天動説が地動説を笑うのに等しいのではなかろうか.現代の自然科学の知熟ま聖 書の記述を肯定又は否定するのにはあまりに貧弱であるのかも知れない.しかし 我々は之を悲しむ必要ほない.
 我々はバベルの塔を望んではならないし、万天の星を前にして宇宙の雄大牲に 神のわざを見ると同じように、聖書の偉大性の前に主なる神の全能牲を知り、主 に属する者としての恵みに目ざめることが出来る.科学に関するかぎり聖書の無 誤性を否定することは出来ないように思われる.
※ 喜ばしいおとづれ
      宮崎 健男(防大8期 金沢フイラデルフイヤ教会牧師)
 栄光在主
 いつも「コルネリオ」誌をご恵贈下さり有難うございます.内容もますます豊 かに興味深い記事にあふれて、励まされております.  私共も、毎日曜日午后、以前伝道しておりました千葉の教会が無牧状態のため、 出かけておりまして、何かと忙がしくうち過ぎております.このところ若年層に よる殺人・暴行etc.のニュースが相次いでおりますが、極く最近では、私共の町 内に、資産家の一老女を殺害し証拠を隠すために家に放火をすると云う事件が起 りました.それらの事件の背後には、種々の要因が考えられますが、何よりも、 根本的には、人間の心が罪の支配下にある故に、罪の力に対して無防備である結 果と云えることは確かです.(ヨハネ8:34)
 主イエス・キリストの十字架こそ、私たちの罪が正しく書かれ、罪の力そのも のが砕かれた根拠であります.それ故に、福音を宣べ伝える重要性をますます感 じております.サタンの支配するこの世にあって、人間を死と滅びへと総力を あげて追いやろうと日夜好計をめぐらし、へめぐり歩いている、この世の君サ タンの存在欺瞞を暴きその支配を逃れ、御子のご支配へと移して下さる主イエ ス・キリストの十字架上の大勝利の福音を宣べ伝える責任は我々救われたキリ スト者の双肩にかかっております.サタンの力は罪と汚れの中に沈んでいて、 我々人間にとって誠に抗するすべもない程、強力で我々自身の力は全く非力と 言わざるを得ません.しかしサタンよりも更に強い御方なる主イエス・キリス トが共におられ我らの味方である故に、主にあって、この戦いの勝利も又確実 であることを信じます.霊の世界の戦いに於いて、我々ほ肉をもって何の戦力 たり得ず、唯、神の御前にへり下って、神から与えられる戦いの武具を身につ けて、我らを通し又我らを用いて戦われる主の勝利を信じ待望むことこそ我ら に求められていることだと信じます.今まで以上の御言に対する単純、純粋な 信仰をもって、主に全的信頼をよせて行かねばならないと存じます.新国軍の 中での尊い御働きが、ますます主に用いられ祝福されますようにお祈り申し上 げます。
※ 教会への便り
              矢田部 稔(陸1佐、富校)
 松戸教会の皆様とお別れして一年、と申しても松戸教会の聖日礼拝の約三分 の一回に出席できましたので、お別れはしていないようであります.とにかく 単身一年生としての状況を報告させていただきましょう.現住所は富士登山道 須走口近くの自衛隊官舎四階建ての二階です.勤務先まで約ニキロ、御殿場市 まで車で約二十分、松戸まで三時間から四時間の距離です.「春はうぐいす、 夏は涼味、冬は厳寒、そして年間を通じて富士山」の須走ですが、今年は暖冬 でした.ここで一年間、朝食と夕食は自己流料理で作りつつ過ごしてきました. 子供が小さかったころ数箇月間、勤務上別居したことはありましたがそれは 寮の生活であり今回のような本格的な自炊を伴う生活ははじめてです.当地の 私と同年代の者達は殆んど単身です.
   ひとり身の 料理手つきも 程なれて
    バックごみの 多きに驚く

 

 家内は十回、娘と息子が各一回、激励に来てくれました.

 

   妻が来る コップに立てた 歯ブラシが
    首長くして キッスしている.

 

 二十五年前と十八年前の二回この地に住み息子はここで生まれました.その二 回とも御殿場教会の会員として過ごしましたので、今回の客員としての生活を加 えると三回となり、私の十数箇所での教会生活のうちでも、御殿場教会が最多所 属回数のものとなります.この教会は、現在陪餐会負七十七名、朝拝三十六名、 夕拝入名、約百年の伝統を持つものです.三回の機会毎に牧師は交代されており、 現在ほ持田牧師です.教会の交りの有難さを思ういっぽう伝道の困難さを思いま す.七年前「御殿場十字の園」老人ホームを生みだし今日に至っていますが、こ れはこの教会の大きな特色です.
 さて松戸教会では引き続いて家族がお世話になっていますし、月一度、土曜夜 に石井先生による家庭集会を続けさせていただき感謝です.伝道部の祈祷会係と して多くの人に証しの担当をお願いしたり、又、教友活動委員や役員の一人とし て御用に当らせていただいた事など感謝と共に思い出します.全国的にも注目さ れる新松戸地区に第二教会を建設する運びとなりました意義は大きいと思います.  年末の休みにルツ記のテープ全十六巻を買い求めこちらで開きました.昨夏以 降の教会での説教をとびとびに開いたのですが、まとめて開き直しますとルツや ナオミの心と信仰に更に親しく接することができる思いがしました.教会負の柳 田秀夫さんが御受洗前、単身赴任されていた赴任先で説教テープをくり返し聞い たと話されたことを思い出します.奏楽も聖歌隊の合唱も新来会者の挨拶もそれ ぞれすばらしく、礼拝がリズム或はうねりを持ち、強い力が呼吸しているように も感ぜられます.郷里の母に全十六巻を送りました.

 

 姑嫁と、無一文にて 舟りつく
   ルツ記のテープ くり返し開く

 

 自衛隊員の信仰者グループ「コルネリオ会」の幹事役を私は継続しています. キリスト者軍人の会第二回アジア大会が二月二十一日から一週間台湾で開かれ 日本から四名が参加しましたが、私は勤務の都合で参加できませんでした.コ ルネリオ会ではその第三国アジア大会を日本で開催しようとしています.大き な経費も必要ですし問題点は多いのですが、御導きを願っています.
 さて春からは単身学校二年生、ガンバラなくちゃ-。
※ AMCF第2回アジア大会
 AMCF第2回アジア大会は台湾OCF主催のもと2月21日~27日の間、 台北に於て開催された.アジア6ケ国および米国から190人以上の参加者を得 て盛会のうちに行なわれた.我国からは武田貴美元会長御夫妻および足立順二 郎元海将補御夫妻の四名が参加した.韓国およぴシンガポールから夫々約40 名、その他マレーシア、スリランカからの参加者であった.
 米国からはAMCF国際会長C.Buckingham少将以下幹部が米本国より、 日本および一韓国在住の米軍人等を含んで多数の参加があった.  今回の大会のテーマは「クリスチヤン軍人」(ェベソ6章13~18節)であ った.奉仕された講師は国際会長C.Buckingham少将を含む台湾および韓 国からの牧師および軍人で、特にセミナーに於ては熱心な討議が行なわれた. 日本を代表した武田前会長の挨拶は、元中華民国総統将介石氏が前大戦の終戦 時に中国大陸に於て武装解除された日本軍人に対して取った昨日の敵に対する 恩情ある取扱いに対し、当時兄が身をもって体験した事実に関する同席であり、 その感激は万堂の人達に将介石総統のクリスチヤン軍人としての偉大さをあら わし、大きな感動を与えたようである.
 今大会のもう一つの特徴は後半に行なわれた国内旅行で、二日間にわたって 高雄市方面までバス施行を行い、参加各メンバーの交りの上で、又台湾各地で のクリスチヤソとの交りに於て大きな収穫があった.又各地に於ける住民の熱 烈な歓迎をも含めて親善の意味からも大いに有意義であった. 大会の日程はつぎのとおりである.
月 日 2/21 2/22 2/23 2/24 2/25 2/26 2/27
時 間 (月) (火) (水) (木) (金) (土) (日)
7:00 - 7:30 歓迎 朝のデボーション 観光施行 歓 送
7:30-8:30 朝食
8:30-10:00 講演
10:00-10:30 コーヒータイム
10:30-11:50 討議セミナー
12:00-13:00 昼食
13:00-14:00 自由時間
14:00-18:00 登録 市内見物
18:00-19:30 晩餐
19:30-21:00 開会 礼拝 デボーション 閉会礼拝
21:00-21:30 夕の祈り
※ コルネリオ会集会報告
 57年度総会
1.期日、場所  1983.3.21(月)春分の日10:30~15:00
        国立オリンピック記念青少年総合センター
a 議決事項
 (1)58年度役員
    会長 今 井健 次    執事 矢田部 稔(幹事)、滝口厳太郎(書記)    志賀 正音(会計)、今井 健次(兼広報)    堀内 侯槌(渉外)、滝原  博、下条谷 浩
  (2)本会事務局の住所変更
   横須賀市走水、防大応物教室気付 を 東村山市富士見町2-12-34(今井健次方)に変更する.
  (3)1986年にAMCF第3回アジア大会を日本で開催する.
  (4)近く離日される在日米OCF代表Meeko中佐に本会から感謝状を贈呈す る.
出席者 溝口 裕(元教授)同夫人、藤原 正明(元陸1佐) 矢田部稔(陸富校)同夫人、滝口厳太郎(空気象本) 志賀正吾(陸碁)、下条谷 浩(中病)、 今井健次(元教投)の各兄姉

 

月例会、役員会 日時 58・2.11(金)、58・3.11(金)、58.4.8(金)、58.5.13(金)
場所 東京下落合、新屋徳治師宅
実施事項
(1) 聖書研究(出席者順次担当)
(2)57年度総会についての打合せ
(3) AMCFアジア大会開催についての検討
(4)祈り

 

出席者(重複分省略) 清水善治、足立版二郎、同夫人、矢田部稔、下乗谷浩、武田貴美、同夫 人、今井健次、堀内侯槌、小山田光成、滝原 博、滝口厳太郎の諸兄姉
※ 通 信  鶴川福音教会(リーペンゼーラ伝道会)牧師原田憲夫先生からつぎのような励 ましのお便りを頂きました感謝.
 「頌主、コルネリオ会誌をご恵送くださりありがとうございました.コルネリ オ会のお働きは当教会の柱であられる滝口兄姉から折々に伺っておりました.私 にとりましては自衛隊は馴染みのない世界でしたが貴会を通してこの世界を一つ の現実として祈る責務を痛感させられました.なお当教会は四月から久利英二師 を牧師としてお迎えし、なお一層福音宣教に励む覚悟でおります.季節の変わり 目ですご自愛ください.在主」
 なお四月以後原田憲夫先生は二俣川キリスト教会(リーペンゼラ伝道会)牧師 に転ぜられました.
※ 短 信
有本  優(元陸2佐)
 御無沙汰申上げております.2月19日から約1ケ月欧州に出張致しますので 欠席させて載きます.御盛会をお祈り申上げます.
今村 和男(元防大教授)
 四月一日付で防大を停年退官致すこととなりました.4月からは非常勤講師で 引続き防大と自由学園の御世話になります.永らく大変お世話様になり有難うご ざいました.海外渡航のため教会には欠席させて頂きます.

 

市川 武功(元陸空挺団、いのちのことば社)
 退職して5年目世の中の冷たさを身にしみています.5才(男)と1.5才(女) の子育てに追われています.昨年より書店において信仰書のセールスに出ていま す。

 

小森 邦治(陸中方)
 昨春長女が、今年は次女が結婚、いままた二人きりの家族構成にもどろうとし ています.目下停年前の特別管理課程入校中で将来の就職についても一二件照介 を受けています.さてOCUの会合ははんとうに久しくご無沙汰しております. 殊にニュースレターの発行やこのような会合のために色々とお骨折下さる皆様に 申訳なく存じます.小生本年の聖書日課として太田十三男縞「日々の聖書」を選 びました.巻頭に「本書を元陸海軍人伝道義会設立者 故星田幾代先生、故黒田 惟信先生及び故内村鑑三先生の霊に献ぐ」とあり、まことにOCU聖書日課にふ さわしいとお思いになりませんか、文語体の聖書も素晴らしいものです.

 

蔵谷 三郎(元陸航)
 すっかり御無沙汰しておりますが元気で私立学校で庶務をして勤めております. 教会では書記・CS教師として奉仕しております.十数名の小さな集まりですが 近く教会設立を目途に準備中です.OCUにもコルネリオ誌を通して連なってい る程度の存在ですが今後共宜しくお願いします.

 

新貝 哲昌(陸1佐 技本)
 一家そろって取手伝道所にて御奉仕させていただいております.御発展をお祈 り致しております.

 

玉井佐源太(陸1尉、仙台)
 皆様お元気の事と存じます.3月18・19日には桧町駐とん地に参る予定です。 若し日を延ばせれば総会に参加する予定です.皆様に宜敷くお伝え下さい.主に あって.

 

溝口  裕(元防衛医大教授)
 57年3月をもって退官し11月名誉教授になり現在無職です.

 

三嶋  滋(元空将補)
 総会の御盛会を祈って止みません.昨年12月末OBになりました.皆様の上 に神の御恩寵あらんことを祈っています.コルネリオ会の御発展を祈っています. 3月21日は旧軍の会の役員で福島へ行かねはなりません.

 

山口 利勝(空2佐 空幕)
 ヨーロッパ及び米国への出張が計画されておりますので誠に残念ですが参加で きません.
 総会が大いに祝されますようお祈りいたしております.

 

吉江 誠一(元陸将、陸幕長)
 主のご加護のもとに益々御清祥にて御活躍のご様子何よりと存じます.当方老 夫婦ともお蔭様で元気に日々を感謝しております.来る3月21日の総会いろい ろとお手配頂き乍ら当日郷里で身内の者同志で法事を予定しており残念乍ら欠席 致すことになりますので不悪、ご盛会を祈りますと共に諸兄姉にどうぞよろしく. 主のお導きを祈りつつ.

 

今井 健次(元防大教授)
 四月一日付で防大を停年退官致しました.今後は至らぬながら福音と福祉工 学のためにお役に立ちたいと腐っておりますので何卒今後共よろしくお願い致 します.

 

※ 転勤、住所変更の場合は御一報下さい.
※ 原稿を募集します.論説、あかし、近況、詩歌、写真等お寄せ下さい.
コルネリオ会事務局(JOCU)
東京都東村山市富士見町2-12-34
 Tel 0423-93-6902
 振替 東京3-87577 (住所を変更しました)
(発行責任者 今井健次)