ニュースレターNo.41 1984年7月

● 日本の宗教
 二千年前エルサレムから起った福音の波はヨーロッパ、アメリカを通って日本 に伝わり、又アジア、中国、アフリカにかけて今や世界のすみずみまで宣べ伝え られようとしておる、聖書の予言によれば終りの時が近い事を思わせられる.し かし文化国家日本国内の状況を見ると、宣教の進展は遅々としていて、未だキリ スト教徒は人口の1%にも達していない状態である.日本国内で福音が伸びない 理由は種々あるであろうが、それらの原因の一つ一つに対する検討と、その対策 を学び実践することがこの世に生きる我々の福音普及の道であり、それがこの教 養国日本に対する主のみ旨ではなかろうか.事をなされるのは主御白身であるが、 しかし主は我々の祈りと信仰による行動とを待っておられる.
 諸外国での福音普及の様子は歴史の示す所であるが、大別して国の首長の信仰 がそのまま国民に普及する場合と、別に民衆の中から盛上った信仰の浸透によっ て起る場合とがある.そしてその発端をなすのは敬虔な教職者であるが、それを 普及させるのは、それに同調した信徒大衆である事に変りがない.
 この前者の場合日本について考えると、我国の皇室に対し福音を伝える努力が なされた時があった.天皇陛下のお側近く仕える侍従職の中に熱烈なクリスチャ ンが入った事があった.又皇太子殿下にはその養育係として熱心なクエーカー教 徒である外国婦人がつかれた事があった.又皇太子妃はミッションスクールご出 身であり御成婚前には信仰をお待ちのようであった.しかしそれらは何れも実っ ておらない.
 皇室に福音が入るのにはむづかしい障害があるように思われる.そこで着眼さ れるのは現在英国に留学中の皇太孫浩宮殿下である.殿下はしばらく我国皇室の 古い仕来りの中から放たれて、現在比較的自由な空気の中でど勉学の事と思われ る.そしてその場所はオックスフォード大学という伝統あるキリスト教的雰囲気 の中であり、今こそ我が皇祖のはかに天地を創造された全能の主がおいでになっ て全世界の興亡をにぎっておられるという正しい信仰と福音とを学んで頂く時で はなかろうか.場所が遠いから手が届かないという事ではなく、事をなされるの は全能の主である事を信じて、そのために日本のクリスチャンが祈りを集中すべ き時であると思われる.
 次に民衆の盛り上りによる宣教について、最近筆者はあまり報道されていない 強力な伝道師に接する事が出来た.それは宮城県泉市の近くに本拠を持つグルー プで、主として東北地方から関東にかけて福音パンフレットをくばり、学校の近 くでは登下校の学童に対しポスターを使って福音を伝えている.
 又同グループでは拡声機のついた小型トラックで市帯地に福音を語り、且つ短 い聖句を書いた鉄板のポスターを街にはっている.筆者は十数年前に東北地方に 出張中片田舎の街角にこの看板を見て、日本のはてにまで福音を伝えている人達 の居る事を知って衝撃を受けたことがあったが、今回その人達に会って大きな励 ましを受けた.
 以上は我国の福音宣教の実態の例であるが、全能の神を日本の主とすることは 与えられた宣教命令であり、先に救われた我々はそのために日々活動している事 ではあるが、その目的のために聖霊のお導びきに従って如何に効率的に合理的に、 与えられたあらゆる能力を集結し、早く目的を達する事が主のみ旨であろう.人 間の努力や才能はそのままでは無力であるが、しかし主のお導びきによる人間の 行動が如何に奇跡を起こし世を変えるかは聖書の示す所であり、その意味で実残 神学の急速な進歩がのぞまれる.
 韓国は福音化し、中国にも千万人をもって教える程のキリスト信仰者がいると 聞く。我国では昔から先祖崇拝であり、その事は聖書にも矛盾しない美徳である が、しかしもと人間であった人達の霊を偶像視して死後にまで働らかせるという 事ではなく、死後は安らかな平安の中に鎖まって頂く事こそ真実ではなかろうか. 今日の国際社会の中で一民族だけの信仰を押出すことの誤りをさとり、主なる神 の全能支配を信ずべきではなかろうか.

 

● 各地で集会を持とう.
          滝口厳太郎(空・気象群)
 ある教会の方が、その教会に出席している若い自衛官に、コルネリオ会の事 を紹介したところ、「コルネリオ会はえらい人が多くて、行きずらい。」と言わ れたと云うことです.コルネリオ会は、全自衛隊負、幹部、曹、士、技官、事 務官を門わず門戸を開いています.若し、若い人達にその様な印象を与えたと するならば、今迄の会のあり方を大いに反省せねばならないと思います.
 防衛と云う性格から職場に於ては上下関係があっても信仰の交りに於ては、 主の御前に皆、一兵卒だと思います.
 自衛隊に入る前に、信仰を持った人も、自衛隊に入って、信仰を得やすい環 境にあって信仰を得た人も、転勤や、その他環境の変化により、信仰を持ち続 けることが困難なことがたくさんあります.
 日本の社会の環境では、国民の大多数の人が教育を受ける公立の小、中、高 校では、聖書で「汝等の若き日に汝の造り主を、おばえよ」と教えていても、 これを教わることはできないのです.また、日本の一部のキリスト教会の中の 環境も、白衛隊の中の環境も信仰を持ち続けるには困難なことがあります.
 クリスチヤンにとって必要な、祈る事、聖書を読む事、主日礼拝を守る事、 捧げる事、証しする事、奉仕する事、等があります.  私は学生時代、卒業して行く先輩に、新しい職を得たら、その地の教会に転 会し、客員としてでなく、積極的に奉仕すべきだと云っていながら、自分が転 勤の多い生活に、つい永い間、転会もせず、奉仕もないまま時がすぎてしまい ました.小さい教会へ行くと奉仕が重荷になる事があります.反対に大きな教 会に行くとOne of themとして重荷にはならないかも知れません.しかし 奉仕できる事は幸せなのです.クリスチャンにとって教会員としての努めが第 1だと思います.コルネリオ会はその次で良いと思います.そして会員同志お 互いに交りを持つことにより、信仰を深めて行く必要があります.
 東京地区ではわずかですが、祈りと聖書の勉強の機会が得られています.東 京地区だけでなく、北海道地区、九州地区に集会が持てるようになること祈り ます.そのために主の御前に皆一兵卒として働いてもらい度いと思います.
● 日本古典考(IV)
         今井健次(元防大)
9. 金のとび
 神武天皇が即位前、かむやまといわれひこの命と言われていた時、兄五瀬の 命と共に相談して「どこに坐したら天下が平和になるだろうか、もっと東に行 こうと思う」と言われて、九州の地から出違された、と古事記の中巻は始まっ ている.それから浪速の附近に来た時、長すね彦が軍を起して戦いをいどんで 来た.その時五瀬の命が負傷して戦死されるが、その時命が言われるには「自 分は日の神の子孫であるのに日に向って戦ったので良くなかった。そのため賤 しい者によって痛手を受ける事になった.これからは迂回して日に背を向けて 敵を撃とう」という事であった。
 それから「やた鳥」が出て来て皇軍の先導をしたと古事記に書いてある。日 本書記ではこの長すね彦との戦の最中、突然天候が悪くなってみぞれが降り出 した.その時金色のとびが飛んで来てかむやまといわれたこの命の弓の筈に止 まった.このとびが照り輝いて、その状態は稲光のようであった.このため 長すね彦の軍勢は目がくらんで戦うことが出来なくなった.ここで長すね彦は 討たれて死んだということである.神武天皇が大和の地を平定したのも、それ に敵した長すね彦が戦死したのも、その間に金のとびの奇跡が起ったのも何れ も天の配在であるとするならば、全能の神は当時未だ日本の地にはお姿を現わされなかった(旧約聖書がユダヤ人に与えられたように)としても、そのご栄 光は既にあらわれていたと思わなければならない.旧軍人の戦時の功績に対し て与えられた金鶉勲章はこの古事をあらわしている。
10.根使主(ねのおみ)(日本書紀より)
 安康天皇の御代、天皇は大泊瀬皇子のために大草香皇子の妹の皇女を妻に迎 ぇさせようと思った。そこで坂本臣の先祖である根使主を使として大草香皇子 のもとに行かせた.皇子は病身であったが妹の皇女の事を大変気にされて、こ の申出を大層喜ばれ早速お引受する事にした.そして美くしい押木の珠かづら を契約の証拠としたいと献上を申出た.ところがこの珠かづらが大変美しかっ たので、使者の検使主は自分がほしくなってそれと盗んでしまい、天皇には大 草香皇子が拒否したように申上げた.天皇はそのざん言を真にうけて立腹され 兵を起して大草香皇子を亡ばし、その皇女を始めのお考え通り大泊瀬皇子に妻 として与えられた.
 その後大泊瀬皇子は即位して雄略天皇となった.雄略天皇の14年に天皇は 中国の呉の国の人を接待することになり、その役目を根使主に申しつけた.根使 主は接待のため最高のかざりである神木の珠かづらを身につけた.回りの人達 はその美くしさに魅せられたが、それが大泊瀬皇子の妻となった皇后の知る所 となり、調べの結果先の悪事が露見してしまった.検使主は逃げたが終に官軍 によって殺された.
 そしてその子孫はつぐないとして二分され一半は大草香部の民として皇后に 与えられ、他方は大草香皇子の忠臣であった人に与えられた.それが坂本臣の 先祖である.
 旧約聖書サムエル記にも少し似た話でダビデのバテシバ事件というのがある が、ダビデは当時の予言者によってその非を示され悔改めた.  枚使主の場合は忠告する者はなく、その事実は子孫を通して恵みの時と言わ れる現代にまでつらなっている.この最後の解決は福音による悔改め以外には ないと思われる.
● 討論 「防衛は聖書と矛盾するか」
 先日某教団の某牧師から「コルネリオ会の皆様」として附記のようなお手紙 を頂いた.先生は元海軍出身で現在教会を牧しておられるが現自衛隊に対して は或る疑間をお待ちのようで、それについて我々自衛隊員が確固たる理論を持 つように励めておられる. ひるがえって日本国内の各教会をみる時、同じような考えを持っている教職信 徒の数も多いのではないかと思われ、その中で健斗しておられるコルネリオ会 員の間でも、この事については定見を持つ必要があると察せられるので、この 機会に誌上からこの問題を論じてみては如何がと思い会員各位から忌憚のない 意見を出して頂き度いと思います.なお論議は誌上では匿名としますので振っ てご投稿下さい.締切は7月末として次回の誌上に選択発表致します.
 また上記テーマの座談会を下記により行いますので有志の方はお集り下さい.
 日 時  7月13日(金)18:30~20:30
 場 所  新宿区大久保1-1-45
     .新宿セントラルハイツ901号(長橋兄方)
      (靖国通、職安通北入)
(附記) コルネリオ会の皆様(某牧師からの書簡)
 コルネリオ会ニュースレター40号有難うとざいます.いつもキリスト教の 真理を追求し、信仰を深めておられる皆様の御様子を拝読し、感謝しておりま す.この皆様に対して少年の時キリスト教に入信し、海軍技術士官として太平洋戦争に参加し、今は専らキリスト教を伝道しております老伝道者として皆様 にお願いいたしたく、この手紙を書きます.これは、皆様としても十分お考え のことと存じますが、自衛隊におられるキリスト者として最も重要なことは、 防衛(広くいって軍備)と聖書の言葉とどう一致するかということで、これを 是非考えて頂きたいのでございます.この点に対する確固たる理論がなければ、 自衛隊を捨てるか、キリスト教を捨てるかのいずれかになるはかありません。  私はキリスト教の信仰と海軍に奉職することの間に矛盾を感じなかったので、 海軍に入りました.戦後このことについて一層深く考えた未、この信念は変っ ておりません.皆様はいかがでしょうか.
 この度、韓国その他の国の軍人クリスチャンと意見を交換なされるそうです が、そうした人人もまたこの共通の問題を持っている筈で、これに対する共同 の研究が是非必要と思われますが、いかがでしょうか。 皆様の上に主の豊かな御恵みを祈ります.
※ コルネリオ会集会報告
1. 月例会、役員会
日 時  59.4.13(金)18:30~20:30
場 所  東京下落合 新屋徳治師宅
実施事項
1.聖書研究
2.25周年記念号について
3.「防衛と聖書」について
4.国際大会献金について
5.祈 り
出席者  滝口、小山田、下桑谷、今井の各兄
2. 月例会、役員会
日 時  59.5.11(金)18:30~20:30
場 所  東京下落合 新屋徳治師宅
実施事項
 1.日米合同集会について
 2.国際大会の取扱について
 3.支部設立促進について
 4.祈 り
出席者  滝口、小山田、下乗谷、今井の各兄

 

3. 月例会、役員会
日 時  59.6.8(金)18:30~20:30
場 所  東京下落合 新屋徳治師宅
実施事項
 1.日米合同座間集会について
 2. 国際大会申込について
 3.25周年誌の原稿費用について
 4.Lumpkin中佐表彰の件
 5.祈 り
出席者 滝口、小山田、下桑谷、今井の各兄
※ 異動
・矢田部稔兄(陸1佐)  第3特科群長兼駐とん地司令(大分県湯布院)
・森田忠信兄(空1佐)  空自幹部学校企画室(市ヶ谷)
・滝原博兄(空3佐)  統幕二室付(檜町)
※ 祈りの友へ
「そのとき主を恐れる者たちが、互に語り合った.主は耳を傾けてこれを開 かれた。(マラキ3:16)
 月例会役員会での祈り会も定着し、主が我らの祈りにも耳を傾けて下さって いる事を感ずるものです.どうか日本国中にある一人一人のコルネリオ会員も、 この祈りに合せて祈って頂き度い.
 我々は遠く離れて日本全国にたむろしているが、心を同じくして祈る時、主 は耳を傾けて下さる事を思います.各地で二人三人で集まることが出来れば主は祝福して 下さるでしょう.各地にコルネリオ会支部が出来る事が望まれます.
 本年は国際大会をひかえ経済的援助の必要な国の代表への献金の依頼を受け、その依頼 はアジアからの代表のうち4人分の航空券の費用を分担するという割当てで、これほ我国 の経済力からみれば無理とは言えませんが、わがコルネリオ会としてはそれに応ずること は出来ないので応分の額ということにしてもらいました.先に諸兄にお願いし現在着々と 献金が捧げられている事は感謝です.現在(6.15)目標の約1/3に達しており、主が 目標を達成して下さる事を願って祈っております.
 次に今年は会設立25周年であり、その記念事業の一つとして記念誌の計画が進められ、その原稿が集められつつあります.この印刷、製本の費用は約12万円必要であり、この 必要が満たされるためにも祈って頂き度いと思います.
 又ニュースレターを諸兄のものとするため投稿をお願い致します.我々は国家防衛のた めに日々国民の表に立って活躍している者であり、心に憩を必要としております.このニ ュースレターはその憩の場でありたいと願っております.そのため匿名掲載の頁をもうけ てくつろいだ言動の場としたいものです.そのために祈って頂き、またご賛同頂ければ投 稿をお願い致します.
  (編集部)

 

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