ニュースレター No.40 1984年3月

※ 主の主、神の神
 我国に始めて福音が伝えられたのは16世紀のなかばであるから今から約440 年前となる.日本人はそれまで天地を創造された全能の主を知る由もなかった.
 福音は九州の地から外人宣教師によって伝えられたが、その宣教は鎖国によっ て押し止められ、国内で栄える事は出来なかった.それまで日本には全能なる神 はなく、祖先に頼る信仰が神社神道や仏教の形で広められていた.日本の古代に は強力な絶対者はなく、同族社会の首長を中心とした「ことあげ」せぬ上下関係 の集団国家が形成されていたようである.そしてこの同族的結びつきは俗に日本 教と呼ばれる程の強力なきずなを持っており、その首長の指導方針はその死後ま でも遺徳としてそのまま継承される事が多かった.
 人は死ねば肉体が亡びると同時にその霊は肉体を離れてねむりに入り(Iテサロ4:13)そしてこの地上に影響を及ばすことはなくなる(ルカ16:27~ 31)と言われているのに、死んだ人が死後もこの世を支配するかのように思い、 特に生前有力者だった人の霊が死後もそのまま継続してこの世の人達の上に影響 を及ばし、寧ろ生前よりも強力に地上の人達の上に力を及ぼしそれを庇護するよ うに考えられてきた.
 生前の業蹟を賞讃し、その徳を顕彰することは我国に於ては古くから美徳とさ れており、これは他人を高くし、尊敬する事で謙虚な良い習慣ではあるが、しか しあまりそれがこうずるとその人に対する期待が大きくなり偶像崇拝に移行する こととなる.故人を顕彰する行事が祭となり、死んだ首長の方針や徳を継承して 民を始める事が「まつりごと」であるとすれば、このような先祖崇拝が固定化し て中世から神社神道の形となり、更に大陸から入って来た仏教思想等と相まって、 後には国家神道として、日本の神々の信仰が出来上ったことであった.
 日本の祖先崇拝に対して
慎重に検討することなく夢から偶像崇拝として排除す る考え方が時の為政者の方針とぶつかって鎖国という形になったのかも知れない.  最近アジアに於ける先祖崇拝の同席について研究する研究会議が台湾に於て行 なわれ、我国からも有力なメンバーが参加したように報ぜられているが、その研 究についての持論は未だ出ていないようである.
 近年自然科学の進歩によって、その自然の不思議さと共にその理路整然とした 奥深さが明らかとなり、それにくらべて人智の低調さが思いやられ、宇宙万象を 支配している権威が益々高められつつある.我国に於ては明治時代に入って鎖国 が解かれ、カトリックと共にプロテスタソトの宣教が始まり、聖書は日本語とな り全能の主は神と翻訳されて久しい.これは我々の祖先の神々と同一の呼び名で あるが、しかし主なる神は諸々の神の霊の上にあるお方であり、又終りの時には すべての死人を裁く方である.即ちこのお方こそ誠に主の主、神の神と唱えられ るべきである.
 我々この世の人の目には天上の霊の事はよくわからないので主なる神も諸々の 神々も同じようにおぼろげにしかわからないかも知れないが、我々の祖先や肉な る人達の霊と天の天におられる(詩68:33)全能の主とを同列に考えること は大きな誤りであり、その呼び名は同じでもその両者の間にははっきりした違い を認める必要がある.すべての魂が全能なる神を見上げて「すべてのひざはわが 前にかがみ、すべての舌は主をさんびする」(イザヤ45:23)とある終りの 時のために備えをすることが、わが大和民族にとっての急務であろう。
○ 会 員 通 信
・ 蔵谷三郎兄(元陸佐)
 自衛隊停年退職後すでに10年を経過しましたが健康を支えられて元気に勤 めております.
 3人の子供達もそれぞれ成人して別居中ですので私共は夫婦2人で千葉の田 舎で生活しています.ここは海上自衛隊下総基地の南約5Kmの所で、時々へり やP2Vが家の真上に姿を見せてくれます.今は梨畑などに囲まれた静かな町 ですが、計画によれば人口34万の都市になる由、小学枚41校も予定されて おり、千葉ニュータウンと名づけられています.
 ここから勤め先の成田まで約1時間、半分車、半分電車の道のりを毎日往復 しています.
 所属教会は船橋市と鎌ヶ谷市との境界近くにあり10kmと少し遠いのですが、 ここに引越して来てから四年近く通っております.まだ会員20名位の小さな 群でスイスの宣教師が牧会しておられます.来春には日本人の牧師を迎えるべ く準備中です.会員が少いため私にもCS教師など奉仕する機会が与えられ恵 み多い教会生活をしています.
 勤めは私学で航空保安科の責任者として日曜祭日以外は出勤し若い学生諸君 と楽しく仕事をしています.近況をお知らせしました.
・ 大橋忠造兄(東北方、法務課長)
 会員の皆様の御元気で御活躍の御様子喜ばしく拝見させて頂きました.私も おかげ様で元気で職務に励んでおります.ニュースレターも今井元教授の御努 力と捗れた御寄稿が相まって立派な出来となっております.又、No.38にのり ました矢田部兄の「コルネリオ会に対する批判と反論」は適切な記事と考えま す.
 反論の対象となった相手記事と、その掲載の要領が知り得ないので、的をは ずれているかも知れませんが、言論は恐ろしいもので、その扱い方如何によっ ては一部の意見が、あたかも全体を代表する意見のように取り扱われ、或いは 受け取られることもあります.また教団もその成り立ちの故もあってか、主義 思想面に寛容なところがあり、一部の思想に傾いている者に利用されている (結果的に)と感じさせる面もないではなく、今回の件も放置しておれば相手 方の思い通りとなっていたと思います.
 従って今回の反論には賛成、しかもこの程の記事に限って「沈黙は金」なら ずで、今後もとの様な場合がありましたら、反論されるよう望みたいと思いま す.皆様お元気でお暮らし下さいますよう祈ります.
・ 中野正治兄(入間・救難団司)
 昨年8月から部内で配置転換し、防衛班長を拝命していますが、存分に組織 のために貢献しきれない不完全さを重荷としてチャレンジしています.  8月7日妻が受洗することが出来感謝しております.私が独り妻にも相談せ ず受洗してから7年余り、静かな決心に踏み切ることが出来た事は恵みです.
・ 玉井佐源太兄(松本・業務隊)
 着任以来盆席りの計画立案実施からはじまり、追悼式、業務隊創隊30周年 記念の計画、実施、駐とん地清掃担任区域の改訂、塵芥処理規則の改正と矢つ ぎ早に業務が重なって来ておりますが周囲の皆様の好意により、快心のうちに 毎日を過ごしております.唯悪筆には本当に閉口しております.イエス様との 出合を心の中に求めております.元気に務めておりますので皆様によろしく. 主にあって.
● コルネリオ会集会報告
1.月例会、役員会
日 時  58.12.8(金)18:30~21:00
場 所  東京下落合 新屋徳治師宅
実施事項
 (1)聖書研究 適当下条谷浩兄
 (2)アジア大会のための予算、分趣等の検討
(3)祈 り
出席者
  下桑谷、滝口、今井の各兄
2. 月例会、役員会
日 時  59.1.27(金)18:30~20:30
場 所  東京下落合 新屋徳治師宅
実施事項
(1)聖書研究 担当 今井健次兄
(2)本年度活動方針
   朝雲、クリスチヤン新聞、キリスト新聞に働らきかける件
   名薄の検討
 (3)コルネリオ会解介のパンフレットの件
 (4)祈り
出席者 滝口、滝原、小山田、瀕内、下桑谷、今井の各兄

 

3 . 月例会、役員会
日 時  59.え10(金)18:30~20:30
場 所  東京下落合 新屋徳治師宅
実施事項
 (1) 聖書研究 担当 小山田光成兄 
(2)25周年記念号を出す件、11月に記念集会をする件
(3)年次計画を作成する件
(4)祈 り
出席者  小山田、滝口、下桑谷、今井の各兄

 

● コルネリオ会設立25周年記念について
 コルネリオ会の前身キリスト教自衛官幹部会が1959年(昭和34)5月 23日日本キリスト教団美竹教会に於てその発会式を行ってから25年が経過 した.発足当時は米英等のOCUにならって幹部会ということであったが、そ の後幹部のみならずすべての自衛官、職員を含めることとし、名称をコルネリ オ会(JOCU)と変えて今日に至っている.ここに設立25周年を記念して 往時をしのび且つ将来の発展を臨んで次の行事を計画しているので会員各位に はご協力をお願いしたい.
1.25周年記念集会
  本年11月頃東京地方に於て開催
2.記念会誌の発行
  発足以来、会の発展にたずさわって頂いた先輩同輩各位からの記事を特集 する.                                以  上
                               (役員会)
※ 日本古典考( )
  今井 健次(元防大)
6. 皇祖と国造り
 天地が初めておこった時に高天が原に三人の神がおいでになり、次に二人 の神が又次に二人の神がおいでになった.皆単独の神として身を隠されたと ある.次に男性の神と女性の神が対偶一組としてあらわれた.続いて、いざ なぎ、いざなみの神が対としてあらわれた.そして諸々の天つ神の仰せでこの 二柱の神に「こめただよへる国をおさめ固めよ」と詔せられた.この二神が 天の浮橋に立って海を紹矛でかき回したところ国土が生み出された、とされ ている。
 これらの事はその文字通りに読めば天地人類創造の神話のようであるが、 これを日本国のはじめと考えれば、我々の祖先が何代かにわたって国内を支 配しようとつとめ、矛をもって国土を予定する始めの出来事と考えることが出来 よう、古代については古事記の著者にもそれらの事実を十分に確かめることは不 可能であったろうし、その建国を美しく記述するためにも、このような象徴的な 書き方になったものと思われる.むしろ神話による建国の物語りとしては気品あ るものと言えるであろう.
 それに続く天照大神は女子の指導者として人徳と権威とを、又その事である須 佐之男命についても、それぞれの個性に応じた表現によって初期の時代の国造り の様子がうかがわれる.又皇孫に手向う者を荒ぶる神といい、土着の指導者を国 つ神と呼んで、権力者に対しては敵であっても神という敬称を用いているあたり に、日本建国当時のおおらかな人心をうかがうことが出来、民族の祖先として子 孫に尊崇の念を持たせることになった.

 

7. 大国主命(おおくにぬくのみこと)
 大国主命は兄弟が多数おいでになったが、皆大国主命に国をお譲りになった. それは命が稲羽の白兎を助けられたことに由来するということで、この物語りに あらわれている命の思いやりの深さ、徳の高さによるという事が出来る.ここに 当時の首長選出の一つの基準が示されている.大国主命は非常に温和な方で、周 囲の荒ぶる神達を力によっておさえるというよりは、人徳によって治めたという 事である。命が出雲においでになっていた時、少名比古那(すくなひこな)の神 が船でやって来られた.この方は高天ケ原の始めの神の一人神産巣日(かみむす び)の神の子供であったが大変謙遜な方で、身長も小さく名を問うても答えられ ない方のようであった.そこで人をやって神産巣日の神にお伺いしたところ、大 国主命と兄弟となってその国を作り堅めよということで、それから二人の神が相 並んでこの国を作り堅めたという.之は古代によくある専制政治ではなく合議制 の政治か早くから取入れられたということであろう.
 その後出雲の国は高天と原から皇孫の使である建御雷(たけみかづち)の神が 来て大国主の御子事代主(ことしろぬし)の神からその統治権を譲り受けるが、 その時も大国主命のも一人の御子建御名方(たけみなかた)の神が出て来て建御 雷神と力競べをする.その勝敗によって国譲りが決定するということで、こ の政権交替の方法は現代でもその名残を留めているように思われる.

 

8. 神代について
 古事記上の巻は神代について記されているが、これに対する史実的な裏付 けは殆んどないと言われている.
 しかしこの記述を通して日本人古来の考え方をうかがい知る事が出来る.施 政者によって善政が行なわれるならば、その民はその施政者の一つ一つの行為 に対して尊敬の念と同時に連帯の気持を持つことになり、その施政者の死後ま でも思慕として残るであろう.
 人は死ねば肉体は亡びその魂もこの世を去り、それが直接物理的にこの世の 人間に働く事はないと考えられるが、しかし後に残された人達にはその生前に なされた事蹟による影響が強く残され、あたかもその人がまだ我々と共に残っ ているような気になるであろう.そしてその善政の影響をなるべく長く保ちた いと思う時その人の業蹟を記念し顕彰しようという行為となる.ここに祭政一 致の方式が生れて来る.  日本の国はいわゆる建国以来の神代の時代からその施政者には有徳の人が多 く、且つ民衆もその祖先から伝わる施政者を同一民族の本家としてうやまい仕 えて来た事から、このような政治態勢が出来てきたのであろうし、この神代時 代の記述もこのようにして出来上ったものと思われる.    (つづく)
● AMCF国際大会への援助お願い
 既報のように今年9月27日から10月3日までの間、韓国ソウルに於て AMCF国際大会が開催されます.その準備のため当事国である韓国のOCU は多忙の様子です.今回韓国OCUから依頼があり、全世界からの代表派遣を 呼びかけているが、アフリカ、アジア、南アメリカでは経済的援助を必要とし ている国が多いので、それらの国からの代表に対し旅費の一部を援助するため 協力してもらいたいという事でした.この国際大会を有意義なものとするため 必要なことと思いますので、これらの目的で皆様からも献金をお願いいたしたく、 下記要領によりど協力下さいますようお節い致します.
1.名 称  国際大会援助献金
2.目標額  15万円
3.募集期間 59年6月30日まで
4.送金方法 郵便振替 東京3-87577
     発起人、役員会

 

※ コルネリオ会
 1983年会計報告(1月~12月)
 収 入
 前年度繰越   74,233
 献   金  198,598
   計    272,831

 

 支 出
 ニュースレター  182,007
 通  信  費  27,800
 集 会 費 用 9,222
 講 師 謝 礼 10,000
 献金(日本聖書神学校へ)2,000
    計    231,029

 

3.来年度繰越  41,802
           (単位円)
  以 上 (会計役員)

 

● 献金者(脈不同、敬称略) 矢田部稔、小森邦治、玉井佐源太、安永 稔、佐々木新次、瀬崎 畢、 望月銅音、高棟 恵、宮崎健男、武田貴美、有本 優、滝口厳太郎、 閑 六郎、今井健次、清水幸治、藤田勝男、山下貴久、新保 勇、 米浜弘明、寺崎 清、志賀正吾、下桑谷浩、三嶋 滋、谷岡博志、石川信隆、 蔵谷三郎、金沢フイラデルフイヤ教会、総会役員会(集会献金)

 

※ 献金についてお願い
 コルネリオ会では先には会則に従って会費を徴集しておりましたが、十年程 前から会費徴集をやめ専ら自由献金をもって収入として来ました.しかもその 間必要は十分に満たされて参りました.先年度も会計報告に示すとおりであり 感謝にたえません.
 しかしここにコルネリオ会も国際的となり、世界のOCU達との交りの中に 入るにおよび会員諸兄に重荷の一端を負って頂く必要が生じて参りました.本 年は韓国で行なわれる国際大会にアジア、アフリカ等からの参加者の旅費の一 部を負担する必要を生じ、また1986年にはアジア大会を日本に於て開催す る予定にしておりますので、これには会員諸兄は勿論国内の篤信の方々に献金 をお節いする事になると思っております.
 主の嘉し給う大会には主が満たして下さる事を信じつつ、そのために今から 祈り合っていきたいと願っております.お祈りとご協力とをお願い致します.                                (役員会)

 

●転勤、住所変更の場合は御一報下さい.
●原稿を募集します.論説、あかし、近況、随想、詩歌等お寄せ下さい.

 

コルネリオ会事務局(JOCU)
東京都東村山市富士見町2-12-34
TEL 0423-93-6902
郵便振替 東京3-87577
(発行責任者 今井健次)