ニュースレターNo.65

News Letter No.65 1992年2月
義と愛について
 世界には百数十の独立国があり、それぞれが固有の国土と環境の元に生存し、独立した利害のもとに隣国との関係を作っている。
 ある歴史家によると人類の記録された歴史3421年のうち平和であった年は268年しかなかったと言うことで、20世紀に入ってからも世界は二度の大戦を経験した。大戦の直後は平和の願望が大きく、その永続が期待されながらも地上に戦争がなくならない。特に最近は戦争の規模が大きくなるにつれて、その災害も極度に大きくなり、その結果人類に及ぼす影響か勝者敗者又中立国の別なく甚大で、戦争を避ける必要性が叫ばれて来た。そして国際連合が出来、今その活動が注目されている。世界の国々はそれぞれ異なる主張を持ち、それぞれ自分を正しいとしている。それは民族により環境により信ずる宗教によって自分の義とする所が多少異なるからである。そこで宗教の場合を取り上げてみると世界にはキリスト教ユダヤ教イスラム教と仏教の四大宗教があるが、それぞれに聖典を持っており、その内容は人間生活の指針として重要なものである。総ての人間が神の形に創造された為か、どの宗教においてもその正しいとするところには似た所があるように思われる。しかしそれを規定として定め、それを『義』として他に押し付けるとき、国々の状況の違いからうまく行くとは限らない。そして各国がそれぞれの義を主張する時、全体をまとめることは難かしい。特に基本的な精神面ではその違いが信仰的な問題をも含むので、人間の知性では理解できない場合が出て来る。国際連合での決議事項が容易に成立せず、成立してもなかなか守られない事がこれを示している。しかし各宗教には義として主張する所があると共に、その義に背いたときの許しと恵み即ら『愛』をも含んでいる。しかしこれらは混然として律法のなかに含まれているので判然とせず、それぞれの立場が先になって理解し合うことがむづかしい。
 世界中が未だお互いの交流も少なかった過去の時代にはそれで通して来たとしても、交通機関や通信機関が発達して世界が狭く思われる近代組織の中では、このような事では世界の平和は成り立たない。これらを調整するために国際連合があるのだが、ここでの国際関係の処理を円滑に行うためにはその審議と運用について考慮する必要があろう。
 ここで先進国の多くが信奉しているキリスト教について考えてみると、それには主として義について教える旧約聖書と、その総括として愛を教える新約聖書とに別けることが出来る。そして相反するように見える義と愛とが十字架の福音によって結ばれている。新約聖書は他者に正義をおしつけるのではなく他者を許し愛する事を求めている。ここに平和の原則があり、国際関係においてもこの精神を取り入れるならば困難な国際平和を作り出すことも出来るであろう。我が国は昔から神道を奉じてきたが、6世紀の中頃仏教が伝来した。またそのころから政治態勢か整えられ、西暦604年に聖徳大師の憲法十七条が制定された。この内容は合理的理性的というよりもむしろ信条的であるが、現代でも通用すると思われるほど平和的である。そしてこれが近世の明治憲法が出来るまで廃止されることはなかった。また国政を規定する大宝律令が西暦701年に完成した。これは中央官制、地方官制、軍事、貴族制度、土地制度、税制、司法にわたる律令制度であって、近代的な枠組をもった法律である。第二次大戦後、新約聖書の平和思想を盛り込んだと思われる日本国憲法が公布されたが、以後半世紀を経てその平和思想は国民の間に浸透している。これは福音によるのではないが、その条文の深遠さの中で多くの国民がこの精神に親しんで来たものである。
 世界は今や新しい世代に入ろうとしている。国連の場にあって世界の二大強国の一つである米国はキリスト教国であり、またロシヤの国は最近共産主義の政策が破綻して精神的にも大きな変革の時を迎えたが、ロシヤは元々ロシヤ正教であるキリスト教の国である。またヨーロッパの国々にもキリスト教国が多い。これらが国連の主要国であるとすれば、この論議の中に新約聖書の考え方を取り入れる事は可能と思われる。日本は元々仏教国であるか、しかしたまたまその憲法に新約聖書的な平和条項を持っているので国連の場にあっても、その議事を進めるのに好都合であると思われる。
 物質や文化財の繁栄だけではいけない。これらのものは一旦平和が破れて戦争になった時、一瞬にして破壊尽くされるかも知れない。これらの財を上手に用いることによって、武力による紛争の発端を封ずるようにしなければならない。それらの事は長い戦争の歴史が明らかに示しているので、平和を愛する者こそ戦争の原因結果について熱心に学び、世界の平和に貢献すべきであろう。               (今井健次記)
AMCF本部スタッフからの手紙( 1990.10.31 )
   Dell McDonald    米空軍退役中佐    ACCTS 総主事
 親愛なるキリストにある兄弟姉妹 日本OCUの皆様主の御名によって御挨拶申し上げます。
 コロサイ1:9-140こ従って、あなたがたのため祈りを続けています。神があなたがたを、全ての霊的な知恵と配慮を通じて、神のみ心を知る思いに満たして下さるよう祈っています。
 あなたがたは小数派で、あなたがたの集まりは自衛隊の中で関心をもたれることが少ないものであることを知っています。しかし、あなたがたが主の価値ある生涯を生き、全ての道で神を喜ばせることができるように、神はあなたがたを励ますことができ、又そうされるだろうと思います。あなたがキリストのために生きるとき、他の人々はあなたがたの中にあるものを見るが故にクリスチャンの信仰に心を引かれるでしょう。
 私たちは将来を見通し、キリストを知ることが出釆る奉仕に参加してくる若い人々の生活に触れる道を、主が示して下さるよう祈りましょう。防大の聖書研究会はよい一例です。私はその聖書研究会が継続されること及び伝道のための新しい道が開かれるよう祈ることをあなたがたに約束します。
 米国の軍学校に留学中の日本自衛隊員で私達が考慮すべき方について、米国にいる私達が承知する方法がありますか。彼らが米国に滞在間強い印象を受ける良い機会となるかも知れません。私は、曽て米国で学んだ日本自衛隊幹部で日本OCUのよい目標となり得る方の名簿を集めることが出来ます。
 日本で御一緒に交わりを持った良いときを思い出してみますと、日本OCUが私にとってその後何年にもわたって励ましあったことを神に感謝しています。神が御自身を現されるときまで、私達は皆、忠実であり続けたいと思います。           敬具
1991年度AMCFアジア大会
 1991年度AMCFアジア大会は1991年11月13日から16日までの間、フィリピン国マニラのミドタウソホテルで行なわれた。フィリピンC.M.F.主催のもと11ヶ国から223人の軍人クリスチャンか集まり、礼拝、晩餐会、聖書研究会、セミナー、報告会等多彩な行事のうち大きな祝福のうちに大会を終了した。

 

大会での日本代表の報告
          欠田部 稔(元陸将補)
 私は、元陸将補 矢田部稔であります。1988年に日本の陸上自衛隊を退職し、現在は損害保険会社の自動車事故による損害を扱う部門で勤務をしております。日本のキリスト者自衛隊員の会「コルネリオ会」の副会長であり、また、私の属する教会の役員でもあります。
 コルネリオ会会長の今井博士夫妻は、この大会に参加すべく準備を進めていましたが、今井博士の健康上の理由で直前になって参加を取り止めました。
 ここに到着以来、フィリピンの方々、またその他の国の方々から戴きました御厚意に感謝申し上げます。
 フィリピン訪問は今回が最初でありますが、私が軍人キリスト者会の国際大会に参加するのは、これが7回目です。過去の大会を思い出しますと、感謝の気持ちを新たに致します。私は、15年前、1976年の米国大会に初めて参加して、そこで大きな感銘を受けました。その時の大会テーマは「キリストか形づくられるまで」(ガラテヤ4:19)でありました。以下、私が参加した大会のテーマを思い出しますと、
  1980 英  国  神には出来る(ルカ18:27)
  1981 ンソガポール 夜の来る前に働く(ヨハネ9:4)
  1986 日  本  神に望みをおく人は新たな力を得る(イザヤ40:31)
  1989 韓  国  キリストの証人となる(使徒1:8)
  1990 シソガポール 一致して奉仕の業をなす(エフエソ4:12)
でありました。これらのテーマは、それぞれの大会でお会いした方々と共に星のように輝いています。
 さて、1986年の日本大会には、フィリピンの6名を含む外国代表92名の参加がありました。フィリピンの4名は、大会の後で私の教会の礼拝に参加し、また私の家に1泊してくれました。
 日本の自衛隊において、クリスチャンはどのように見られているか。ある時は尊敬の念をもって見られ、あるときは、反体制運動の一員として警戒をもって見られます。日本の教会において、自衛隊員クリスチャンはどのように見られているか。ここでも尊敬と期待をもって見られることもありますが、邪魔者として見られることもあります。  私が書きました自衛官としての証が、ある教団の伝道新聞に掲載されたことがあります。その時、配送を受けた幾つかの教会からその新聞は発行所に送り返され、じ後自衛官の文を教会の新聞に掲載しないということになりました。
 第二次世界大戦の後、日本の教会は戦争を深く悔いましたが、そのうちに国防に関して混迷に陥ることになってしまいました。教会の公式な文書に自衛官の信仰について書くことはタブーとなっています。一方、日本の社会特に官の世界では、一種の反キリスト教的あるいは反宗教的感情が存在しています。自衛官が信仰を持って生きるとき二つの山があります。一つの山は国防を無視する教会であり、もう一つの山は宗教を無視する社会であります。
 このような環境の中でコルネリオ会は、32年前に発足し、現在は機関紙を最大の絆として活動をし、東京地区及び防衛大学では毎月1回集会を持ち、全体として年1回研修会を持ちます。会員数は、現役・退役を含め約100名の状態が長年続いています。
 日本にプロテスタントが来る前、16世紀にやって来たカソリックは、300年間激しい迫害に遭いました。1614年に高山右近及び約100名の者は、キリシタン信仰故に徳川家康によって日本を追放され、フィリピンに逃れ、ここで大きな歓迎と援助を受けました。この会場から遠くないパコ駅脇のデラオ公園に右近のモニュメントがあります。
 日本は、経済の再建には成功したが、伝道には成功しなかったと言われます。伝道上の問題は、日本のみならず何れの国においても存在するのでしょう。この大会で「時をよく用いなさい」(エフェソ5:16)のテーマが与えられています。初めの部分で、私が参加した各大会のテーマについて述べました。御神は御計画によって日本でも勝利を納められるでありましょう。何故ならば「神にはできる」からです。そこで、私達には、「奉仕において一致し」「神により頼み」「時を用いて」「夜の来る前に働き」「キリストの証人となる」ことが必要となります。
 各大会のテーマと大会でお会いした軍人キリスト者達が星のように輝いていると申しました。その星の中で、軍人キリスト者高山右近も大きな輝きとなっています。  栄光在主   御静聴有難うございました。
会員からの短信
蔵谷三郎兄
 所属教会は小さな群ですが来年の献堂を目指して歩み始めています。平均20名の礼拝ですが希望を持って前進中です。
夫野 清兄
 8月 1 日付で航空自衛隊第一補給処(木更津)へ転属となりました。
松山暁賢兄
 主にある交りを感謝致します。7月に定年退官し8月から東京海上火災K.K仙台支店に勤務しております。 矢田部先生と同じ会社です。今後共よろしくお願いします。
石井克直兄
 昨年一月予備自衛官に指定され、四月には地連の一日訓練に参加、今は名古屋市北区の志賀教会に通っています。会員名簿を作成しては如何でしょうか。
峯崎康忠兄
 略伝有難く拝見しております。何卒よい資料をお残し下さい。
市川武功兄
 アジア教会成長神学院に学び、来る三月で卒業の予定です。元気でやっておりますのでお祈り下さい。
関六郎兄
 アンデスの声の応援のためにブラジルへ行く話は当分延期となりました。又の機会を望んでおります。
 会計報告 (1991年1月~12月)
  収入の部
  1.前年度の繰越金        1,028,571
  2.献    金          286,500
     合  計         1.315.071
  支出の部
  1.ニュースレター発行費      125.000
  2.広告料(クリスチャン新聞)     45.920
  3.集  会  費          30.000
  4.防大聖研へ(徳梅牧師お祝を含む)  20.000
  5.フィリビソへ献金         50.000
  6.通  信  費          13.430
  7.次年度へ繰越金       1,030,721
     合  計         1,315,071

 

 繰越金のうち \800、000 は定額貯金

 

  下桑谷宣教師献金
  収入の部
   繰越金及び献金   186,500
  支出の都
   下桑谷宣教師へ   100,000
  残額の部        86,500

 

 

@献金者氏名(敬称略)
 今市宗雄、武野仁司、蔵谷三郎、大湊亮一、石井克直、宮岡修二、海野幹郎、天野清、谷岡博志、寿円正己、山田伊智郎、足立順二郎、岡村紀子、森田豊、今村和男、安永稔、関六郎、藤原正明、矢田都稔、中野正治、三上俊弘、吉江誠二、石川信隆、保科六三郎、桜井猛、今井健次、滝原博、納谷憲正、岡部建蔵、斉藤孝、松山暁賢、楢原久仁夫、宮越明彦、中山隆三、花盛勲一、峯崎康忠、福田俊治、中野研精、山口利勝、斉藤良子、山内正、千葉幾代
会計係より感謝のことば
  「主は生きておられる」「主はいつも必要なものを必ず満たして下さる」のみ言葉とおり、1991年度も必要を満たして下さった。
 特に、フイリッピンのAMCF へ災害献金として5万円を矢田部副会長が持参して捧げて下さったことは大きな感謝であった。
 また8月を除き毎月1回防大聖研が行われ、本科および研究科学生合わせて多いときで9名、少ないときで3名が集った。徳梅牧師の素晴しいメッセージに加えて、今年度は滝原姉が応援して下さり、あかしやメッセージの補足説明をして、防大生を励まして下さった。防大聖研の働きのためにどうぞお祈り下さい。
 さらに、下桑谷宣教師に対する献金も十分必要を満たすことができ、皆様からの熱いお祈りを強く感じました。  心から感謝する次第です。
  感謝を以って     (会計係:石川信隆)

 

◎ 定期集会を毎月開いておりますので、参加を歓迎します。
◎ 原稿を募集します。論説、あかし、近況等何でも結構です。

 

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